プリンスホテル

はてなブックマークで紹介されていたニュースでhttp://www.asahi.com/national/update/0314/TKY200803140352.htmlにある「asahi.com日教組、プリンスHに3億円賠償訴え 教研集会拒否で - 社会」に関して。

 日本教職員組合の教育研究全国集会をめぐり、グランドプリンスホテル新高輪(東京都港区)が会場使用を拒んだ問題で、日教組は14日、プリンスホテルと同社の役員12人を相手取り、約3億円の損害賠償と新聞への謝罪広告掲載を求める訴えを東京地裁に起こした。仮処分の段階で東京地裁、高裁はホテル側の主張を退ける決定をしており、日教組は「争点は既に明確だ」として早期の判決を求める方針。

 日教組に加え、都道府県単位の組合、全体集会に参加予定だった1889人の組合員が原告となった。ホテル側が一方的に契約を解除し、組合員の宿泊も拒否したことや、裁判所の決定に従わず他の団体に会場を貸したこと、ホームページや記者会見で日教組に責任があるかのように説明してきたことが不法行為にあたると主張。結果的に無駄になった集会の準備費用や前日の宿泊代などの経済的損害のほか、慰謝料を求めている。

 〈プリンスホテルの話〉 契約を解除したのは当日近隣で行われた入試に臨む受験生に対する多大な迷惑を第一に考えた結果。教職員の皆様だからこそ、この点をご理解いただきたい。

http://www.asahi.com/national/update/0314/TKY200803140352.html


すでに裁判の仮処分の決定は出ている問題ですが、仮処分が出ていてもホテルは従っていません。だから損害賠償の判決が出たとしても、賠償金を払わないという可能性もあるのではなんてことを思いました。まずそんなことは無いでしょうが…。

もうひとつは来年以降の教育研究全国集会はどうなるだろうかということです。今まではそれほど有名ではなかったのかも知れませんが、今回のニュースによって多くの人の注目を集めたわけです。それをふまえて、来年以降の周回の場所が確保できるかということに関しても興味があります。その結果によって、司法による物とは別の勝ち負けが決まるような気がします。
今回の問題は、いったん契約しておいてキャンセルしたことが主な争点です。だから、最初から契約を結ばなかった場合は、今回のような問題にはならないと考えられます。それをふまえて来年以降の周回にプリンスホテルや同等なホテルなどと使用契約を結ぶことができるのか。それとも使用契約を結ぶことさえ出来ないのか。

食べ放題じゃない

http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/51018376.htmlの「404 Blog Not Foundバイキング式のレストランで給仕を待つ君たちへ」の以下のあたりから連想したこと。

「宛名のない善意」というのは、バイキング式の料理にも例えられるだろう。ビュッフェ(buffet)。スモーガスボード(smorgasbord)。料理は確かにそこにあるのだが、給仕が自分のテーブルに並べてくれるわけではない。給仕は自分自身の仕事である。

近代社会の大きな流れというのは、料理の数が増える代わりに、給仕の数が減るという言い方もできるのではないか。無料のインフラは時代とともに充実していく。不況のときにさえ、いや不況のときにはさらに充実したりもする。私の子供のころは、すぐに思い浮かぶのは道路と図書館ぐらいだったが、今はそれにネットが加わっている。

http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/51018376.html


バイキング式というのはスモーガスボードを参考にした日本独自の方式で、食べ放題であるのが一般的です。でもビュッフェやスモーガスボードは食べ放題というわけでもないようです。実際、こんなニュースもありました。

ユタ州 ソルトレークシティー南郊のビュッフェ式レストラン「チャッカラマ」で先月27日、「低炭水化物」ダイエット中の夫婦がローストビーフばかりを食べすぎたため、店から追い出されるという騒動があった。

退店させられたのはスイ・アマアマさんと妻。「低炭水化物」ダイエットはパンやパスタなど炭水化物の摂取を極力抑え、代わりにタンパク質を多く摂るもので、スイさんはこの日、ビュッフェでローストビーフばかりを食べていたという。

スイさんが12枚目のローストビーフを取ろうとした時、肉を切り分けていたゼネラルマネージャーが、他の客の分が足りなくなると、2人を退店させようとした。

思わぬ「退場命令」に夫妻は1人8.99ドル(約990円)の代金を払い戻すよう抗議したが、店長が却下。怒った夫妻がその場を動こうとしなかったため、警察が呼ばれる騒ぎとなった。

妻は「本当に恥ずかしいわ。私たちはチャッカラマがてっきり『食べ放題』のレストランだと思っていたのに」と話している。

これに対して、同レストランチェーンの地区マネージャーは「当店が『食べ放題』を名乗ったことは一度もない。『ビュッフェ』とは単に、食事の一スタイルを表しているに過ぎない」と反論している。

http://diary.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/robinson/?Y=2004&M=5&D=4


まあ通常は多少食べすぎたぐらいで追い出されたりはしないでしょうが、基本はひとり分の食事を自分で取って食べるということでしょう。ホテルの朝食などはビュッフェ形式が多いですが、パンを持ち出したりするのを見つかると怒られます。その反面、レストランの開く時間より前に出かける必要がある場合に、事前に頼んでおくと朝食をテイクアウトすることが出来る場合もあります。

追い出されるといえば、株式市場でも上場していた企業が退場させられることもあったりするので、レストランと似ているかなと思いました。理由は食べすぎではないでしょうが…。他には、会社に勤めている場合でも退場させられることはあるし。つまりレストランの例えで言うと、給仕はいないけど客を追い出すための警備員はいるという感じでしょうか。


“道路は私を救ってくれた。しかし道路は私を救うために敷かれたのではない。”あたりからは、シオドア・スタージョンの「茶色の靴」という話も連想しました。これは、すべての弱者を救う方法を見つけた人が本人の考える最善の方法を行って大変な苦労の末にその通りになって新しい世界が訪れた。にもかかわらず身近な人からもそれを理解されないという話。

「彼らを利用したんだよ」彼はそっけなく答えた。「ぼくの行く先に通じている道なら、どんな道でも利用した。誰がそれを作ろうと。なんのためにそれがつくられていようと」


「時間のかかる彫刻」に収録の「茶色の靴」269ページより引用


時間のかかる彫刻 (創元SF文庫)

時間のかかる彫刻 (創元SF文庫)