抜き打ちテストのパラドックスとトランプ

抜き打ちテストのパラドックス

抜き打ちテストのパラドックスと呼ばれるものがあります。ある学校で先生が、来週の月曜日から土曜日のどれかに抜き打ちテストを行なう。どの日にやるかはその日にならないとわからない、と言ったところ生徒の1人が、もし金曜日までテストが行なわれなければ土曜日に行われることがわかります、だから土曜日にはテストはできません。そして土曜日にテストが行なわれないとすると、木曜日までテストが行なわれなかったら金曜日にテストが行なわれることがわかってしまいます。だから金曜日にもテストはできなくなり、同じように木曜、水曜、火曜、月曜にもテストはできないことになります。とそんなことを生徒が言ったのだけど、それは正しいのかどうか。これが抜き打ちテストのパラドックスと呼ばれるものです。これがパラドックスと呼ばれるのは、実際に月曜なり火曜に抜き打ちテストを行なうことは可能なように思えるからです。

トランプ

抜き打ちテストのパラドックスのバリエーションには死刑囚が死刑にされる日を当てるものなどがありますが、その説明にトランプを使っているところを見つけました。*1
6枚のトランプの中に1枚のジョーカーが入っているとして、よくシャッフルして順番にめくっていったら、めくる前にジョーカーだと当てることができるか。これも抜き打ちテストや死刑囚のパラドックスと同じ問題と考えられます。
もし6枚のうち5枚をめくってもジョーカーが出なければ、最後の6枚目がジョーカーであることはわかります。ただ、1枚目から5枚目のどれかがジョーカーだった場合には当てることができません。

サイコロ

カジノで行なわれるギャンブルはほとんどがディーラー有利になっていますが、トランプを使うブラックジャックだけは必勝法というか客の勝つ確率の方が高くなる方法が存在します。6枚のトランプに入っているジョーカーを当てるのであれば、5枚目までジョーカーが出なかった場合にだけ賭けることで確実に勝つことが出来ます。ブラックジャックの場合はそれよりも少し複雑ですが、場に出てしまったカードを覚えておいて自分に有利になった場合にだけ賭けることで勝率をアップさせるのは同じです。つまり過去の勝負がわずかながら未来の勝負に影響をあたえるゲーム形式になっています。
これがサイコロを振って出る目を当てるゲームならば、過去にどんな目が出ても次に何が出るかは関係ありません。

ガチャ

抜き打ちテストのパラドックスでも、サイコロを振って1の目が出たらテストを行なうようにすれば当てることは不可能です。しかし、6回振っても1の目が出ないこともあるので6日のうちにテストを行なえるかどうかはわかりません。6枚のカードから1枚のジョーカーを当てるのと、サイコロの目で1を当てるのはどちらも確率6分の1の勝負ですが、当たりの出かたには違いが出ます。
スマホなどのゲーム中で行なうガチャと呼ばれるくじ引きは、トランプを引く方式とサイコロを振る方式があるみたいです。トランプ方式ならば、何度もガチャを引くことで外れたとしても次に引くガチャの当たる確率を上げていると考えれば全くの無駄ではありません。一方でサイコロ方式の場合は外れは単なる外れで、次に引くガチャは最初に引いた場合と同じ確率です。

*1:「死刑囚のパラドックス」別解 - しいたげられたしいたけ http://d.hatena.ne.jp/watto/20150328#p1