食べ放題じゃない

http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/51018376.htmlの「404 Blog Not Foundバイキング式のレストランで給仕を待つ君たちへ」の以下のあたりから連想したこと。

「宛名のない善意」というのは、バイキング式の料理にも例えられるだろう。ビュッフェ(buffet)。スモーガスボード(smorgasbord)。料理は確かにそこにあるのだが、給仕が自分のテーブルに並べてくれるわけではない。給仕は自分自身の仕事である。

近代社会の大きな流れというのは、料理の数が増える代わりに、給仕の数が減るという言い方もできるのではないか。無料のインフラは時代とともに充実していく。不況のときにさえ、いや不況のときにはさらに充実したりもする。私の子供のころは、すぐに思い浮かぶのは道路と図書館ぐらいだったが、今はそれにネットが加わっている。

http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/51018376.html


バイキング式というのはスモーガスボードを参考にした日本独自の方式で、食べ放題であるのが一般的です。でもビュッフェやスモーガスボードは食べ放題というわけでもないようです。実際、こんなニュースもありました。

ユタ州 ソルトレークシティー南郊のビュッフェ式レストラン「チャッカラマ」で先月27日、「低炭水化物」ダイエット中の夫婦がローストビーフばかりを食べすぎたため、店から追い出されるという騒動があった。

退店させられたのはスイ・アマアマさんと妻。「低炭水化物」ダイエットはパンやパスタなど炭水化物の摂取を極力抑え、代わりにタンパク質を多く摂るもので、スイさんはこの日、ビュッフェでローストビーフばかりを食べていたという。

スイさんが12枚目のローストビーフを取ろうとした時、肉を切り分けていたゼネラルマネージャーが、他の客の分が足りなくなると、2人を退店させようとした。

思わぬ「退場命令」に夫妻は1人8.99ドル(約990円)の代金を払い戻すよう抗議したが、店長が却下。怒った夫妻がその場を動こうとしなかったため、警察が呼ばれる騒ぎとなった。

妻は「本当に恥ずかしいわ。私たちはチャッカラマがてっきり『食べ放題』のレストランだと思っていたのに」と話している。

これに対して、同レストランチェーンの地区マネージャーは「当店が『食べ放題』を名乗ったことは一度もない。『ビュッフェ』とは単に、食事の一スタイルを表しているに過ぎない」と反論している。

http://diary.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/robinson/?Y=2004&M=5&D=4


まあ通常は多少食べすぎたぐらいで追い出されたりはしないでしょうが、基本はひとり分の食事を自分で取って食べるということでしょう。ホテルの朝食などはビュッフェ形式が多いですが、パンを持ち出したりするのを見つかると怒られます。その反面、レストランの開く時間より前に出かける必要がある場合に、事前に頼んでおくと朝食をテイクアウトすることが出来る場合もあります。

追い出されるといえば、株式市場でも上場していた企業が退場させられることもあったりするので、レストランと似ているかなと思いました。理由は食べすぎではないでしょうが…。他には、会社に勤めている場合でも退場させられることはあるし。つまりレストランの例えで言うと、給仕はいないけど客を追い出すための警備員はいるという感じでしょうか。


“道路は私を救ってくれた。しかし道路は私を救うために敷かれたのではない。”あたりからは、シオドア・スタージョンの「茶色の靴」という話も連想しました。これは、すべての弱者を救う方法を見つけた人が本人の考える最善の方法を行って大変な苦労の末にその通りになって新しい世界が訪れた。にもかかわらず身近な人からもそれを理解されないという話。

「彼らを利用したんだよ」彼はそっけなく答えた。「ぼくの行く先に通じている道なら、どんな道でも利用した。誰がそれを作ろうと。なんのためにそれがつくられていようと」


「時間のかかる彫刻」に収録の「茶色の靴」269ページより引用


時間のかかる彫刻 (創元SF文庫)

時間のかかる彫刻 (創元SF文庫)