可能自然数・実自然数

http://d.hatena.ne.jp/hyuki/20060411に書いてあった、「可能3」と「実3」について考えてみます。

■実について
ネットを見ていると、ときどき「可能無限」と「実無限」という用語を見かける。この用語が適切なものかどうかはさておき、無限をこうやって区別したい人は、3を「可能3」と「実3」に区別しないのかな、と思った(批判しているわけではなく、疑問をいだいているだけです。念のため)。

まず、今まで使ってきた3は確かに実在するように思えるので、これを実3とした場合に、可能3とはどういったものかを考えます。
どこまでも3に近づいていくけれども3にはならないのだから2.99999…はどうだろうと思いましたが、これは3に等しくなってしまいます。
\large 2.99999\cdots=3
3の極限を考えても、というか考えるまでも無く3です。
\large \lim_{n\to3}n=3


ここで、3ではなく実数について考えてみます。実数については可能無限と実無限の立場によって変わります。
\large \pi=3.14159256358979\cdots
円周率の \piですが、これを小数表記した場合無限に続きます。この無限に続く数を、計算していくらでも求めることが出来るが、それがいくつなのかは計算してみないとわからないとするのが可能無限の立場。そして、計算するまでも無く全て定まっているというのか実無限の立場のようです。
そういった意味では実数に関しては、可能無限による実数、言わば「可能実数」と、実無限による実数「実実数」があると考えることもできます。
自然数も実数に含まれるので、3を2.9999…と表記した場合に、小数点以下の無限に続く数は計算してみるまでわからないと考えることも出来ますが、少し無理がありそうです。


別の方向からも考えてみます。
\large \frac{1}{n}
この式のnに0を代入したらどうなるでしょう。分母が0になるので解なしです。しかし、極限をとることはできます。
\large \lim_{n\to0}\frac{1}{n}
この式の極限値は無限大に発散します。しかし、グラフを描いてみればすぐわかりますが、それは必ずしも正確ではありません。nを1、0.1、0.01のように正の数から始めて小さくしていった場合は無限大に発散しますが、−1、−0.1、−0.01のように負の数から小さくしていくと考えると負の無限大に発散すると考えられるからです。
極限の取り方で結果が変わるので区別するために以下のように書くこともあります。
\large \lim_{n\to+0}\frac{1}{n}=+\infty
\large \lim_{n\to-0}\frac{1}{n}=-\infty
正の数から近づいていく場合は+0で、負の数から値被く場合は−0と表記するわけです。
0を代入した場合と、正から極限をとった場合、負から極限をとった場合で答えが違います。
これは0が特別な数だからということではなく、3でも出来ます。
\large \frac{1}{n-3}
この式のnに3を代入することを考えて下さい。そして正から極限をとった場合、負から極限をとった場合についても考えてください。
それからもう一度、下の式について考えてください。
\large \lim_{n\to3}n
もし、この極限値が確かに3で、全く何の違いも無いとするならば、\frac{1}{n-3} の場合の違いは何でしょうか。



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