非正統的な手段と合理性

http://d.hatena.ne.jp/fujipon/20100904#p1の『東浩紀さんとカンニングtwitterの「不当な量刑」 - 琥珀色の戯言』で取り上げられているカンニング問題。これはその数日前に書かれたhttp://d.hatena.ne.jp/fujipon/20100828#p1の「街場のメディア論 - 琥珀色の戯言」と合わせて読むと興味深いかなと感じました。「街場のメディア論」という内田樹氏の著書の紹介です。
孫引きになりますが、著書の中身を一部紹介してみます。

 いかに少ない「代価」を以て、試験のハイスコアや、見栄えのいい最終学歴を手に入れるか、それが消費者としては最優先の課題になります。

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この考え方を使えば、カンニングという手段で結果だけを手に入れるということも説明ができそうではあります。
しかし、結果を手に入れる方法としてカンニングなどの非合法な手段をとることは、倫理的な問題以外も欠点があります。それは経済的合理性からみても、非合法な手段は割に合わないということです。


最も簡単確実にお金を稼ぐ手段は一般に仕事と呼ばれているものだ、ということは内田氏と同じく作家で大学の先生でもある森博嗣氏がどこかに書いたものを読んだ記憶があります。非正統的な手段でお金を稼ぐのは、成功率や安全性などの点で正統的なものに劣るというわけです。
もしそうでない場合が一時的にあったとしても、有効な手段であればそれがスタンダードな方法になるだけなのかもしれません。


カンニングの場合も、それによって得られる利益と必要な手間などのコスト、それから発覚した場合のことを考えれば、試験でよい結果を得る為の手段としてそんなに有効だとは思えません。