株はゼロサムゲームか

http://www.kotono8.com/2006/10/24stock.htmlの「株必勝法を実践してみる [絵文録ことのは]2006-10-24」に関連して、株はゼロサムゲームなのかについて考えてみます。リンク先ではゼロサムでもないマイナスサムという言い方をしています。

株も同様で、自分が買うときには同額で売る人がいなければならないし、自分が売るときには同額で買う人がいなければならない。つまり、他のギャンブルと同じく、一定のパイの中で勝ち負けが決まるわけである。さらに手数料と税金が引かれるわけだから、決して効率的なギャンブルとも言えない。

麻雀というゲームは競技者の得点の合計が0になる典型的なゼロサムゲームといえますが、これも店でやった場合は利用料金がかかります。また、税金を考えるとお金をやりとりするゼロサムゲームと言えるものは無くなってしまいます。
ここでは、手数料や税金などの料金が必要な場合も、それらを除いた競技者の勝ち負けの合計がゼロになる場合はゼロサムとして扱います。

だれかが株で儲けるということは、その人に安い価格で株を売って損した人がおり、また高い価格でその人から買って損した人がいるはずである。つまり、自分が得するためには、誰かを犠牲にしなければならない。自分が一億円儲けたとすれば、その一億円は他の投資家たちから奪っているわけである。1万人が1万円ずつ損しているかもしれないし、一人が1億円損しているかもしれないが、いずれにしてもだれかが自分の儲けた分だけ損している。

短期的には株も誰かが勝てば誰かが負けるゼロサムゲームに近いと思います。しかし、株とはいったいなんだろうかと考えるとそうでも無いようです。株は株式会社に対する投資なわけです。株式会社が何をやっているかというと、商売なわけです。

たとえば商売であれば、1万円で商品を買った人は1万円損したかというと、決してそんなことはなくて、ある程度の利用価値を手にすることになるだろう。少なくとも、何らかの商品やサービスは手にできる。場合によっては買った金額以上の価値を手にする場合もある。10万円のパソコンを買った人は、もしかしたらそれを有効活用して10万円以上の価値あることを成し遂げることができるかもしれない。実際、私は8万円のPCを使って原稿を書き、原稿を書くための資料を集めて生計を立てているわけで、この買い物は決して「損」ではない。1500円の本を買った人は、1500円をドブに捨てるのではなく、それを生かしてネットショップで儲けたり、あるいは人生の糧としてお金に換算できない価値を手に入れるかもしれない。しかし、利用者が購入価格以上の価値を得たからといって、売った方が損をするわけではない。きちんと販売した分はプラスになっている。つまり、売った人も買った人も満足できる「WIN-WIN」の関係を作ることは不可能ではないし、少なくともそれを目指して生きていくことができる。


株式会社の商売がうまくいけば、会社の価値も高くなります。そうすると株価も上がると考えられるので、商売で「WIN-WIN」が成立するならば株でも「WIN-WIN」が成り立つ可能性もあるはずです。
現状の株式売買がゼロサムゲームに近いというのはそうだと思います。しかし、企業が必要な資金を調達するための手段としての機能も残っています。その企業がよい商品をお客様にお届けして満足を与えるという目的を持っているとしたら、そこへの投資もWIN-WINと考えることが出来るでしょう。ゼロサムゲームではないノンゼロサムゲームというわけです。
リンク先でも長期的なやりかたで紹介されているのは、企業の成長に対する投資です。このやり方なら、ゼロサムではないと言えるのではないでしょうか。

長期的なものとしては、バフェット氏や竹田氏のように、成長しそうな企業を見つけて、そして売らずにずっとその株を保有する。そして、配当や株主優待を手に入れ、企業が成長することをともに喜ぶ。

以前に書いたもの
結婚はゼロサムゲームか