SF

http://horror.g.hatena.ne.jp/COCO/20070601に書かれていた<SF者が初心者にオススメするSF作品は?>に関して。
夏への扉」はバランスが良いのではないかと思います。SF的要素やストーリー、キャラクターがうまくかみ合っています。タイムとラベルによって運命を変えようとするけれど、因果関係に矛盾は起きないでパズルのピースがうまく収まるように成立する。主人公は、自分の力で幸運を勝ち取ってハッピーエンドになる。と、いったあたりが人に薦めやすいのだと思います。コメント欄でも紹介されていましたが「輪廻の蛇」は、時間旅行と因果関係に関するアイデアは素晴らしいけれど、ストーリーは暗く読後感は複雑です。「時の門」も、紙に図を描いて矛盾が無いか確認したくなるような構成ですが、キャラクターの魅力が乏しいのが難点かと。それ以外だと「生命線」は、タイムトラベルではないけれど時間に関する話。海底ケーブルがどこで断線しているのかを調べるように、人生がどこで途絶えているのかを調べることができる装置が出てきます。つまりその装置をつかうといつ死ぬかがわかってしまうのです。これも誰にでも進められるかというと微妙です。

しかし、逆に考えると「夏への扉」を読んで面白いと思ったとしてもSF好きになるかはわからないわけです。つまりSF的要素が心に響くことが無かったとしても、それ以外の部分だけでも面白いだろうからです。


(追記)「夏への扉」というのは、タイムトラベルによっても歴史を改変することが出来ないという、いわゆる運命論的な考えにそってにもかかわらずハッピーエンドになる珍しい例かもしれません。歴史を変えてハッピーエンドにするのは簡単だけど、変えずにハッピーエンドしかもどんでん返しというのはかなり難しい気がします。