金が物をいう

http://d.hatena.ne.jp/buyobuyo/20070905#p1の「進学率と経済力には強い相関がある」で取り上げられていることに関して。

本書で引用されている多くの研究成果は、

親の所得は子の成績や学歴に影響力がある
親の学歴は子の成績や学歴に影響力がある
という二つの子どもの努力ではいかんともしがたい影響の存在を示唆するものとなっている。

http://d.hatena.ne.jp/buyobuyo/20070905#p1


相関関係についてはデータから機械的に求めることが出来るので、データを信じるならば相関関係があるということも信じて良さそうに思います。しかし、因果関係については何とも言えません。別の原因が親の所得や学歴と子の学歴に影響をもたらしている可能性などもありそうです。例えば遺伝的な頭脳の優劣というものがあって、それが所得や学歴に対して有意に影響を与えているなんてことも仮説としては考えられます。親の学歴と子の学歴に相関があるという点からは遺伝的な影響がありそうに思えるし、所得の相関については学歴などを原因とした結果であるからとすれば説明することはできます。別の言い方をすると、良い頭脳というのが原因としてあり所得や学歴はその結果に過ぎないというものです。
まあ、これは単なる仮説にすぎません。遺伝的なものの有無については、遺伝的な関係の無い親子の場合についてとそれ以外で差が出るかを調べれば関連についてわかるかもしれません。
別の面からは、学費が無料のフランスなどの国でのではどうなのかなどについて調べることでも何かわかりそうです。学費だけが教育にかかる全てではないとしても、学費が無料になることによって親の経済的な格差の影響がどうなるかというようなことです。学費が無料になることで、学歴と親の所得との相関が低くなるならば直接ではないにしと因果関係はありそうで、学費が無料になっても親の所得との相関が変わらないのならば因果関係は無さそうです。


(9月6日追記)
はてなブックマークのコメントで紹介されてたhttp://homepage3.nifty.com/ronten/inequality.htmの「不平等の経済学」に書かれていたメリトクラシーの逆説というのは、上で書いたような遺伝的な高い知能が学歴や収入に影響を与える原因であるというもののようです。