エントロピー

http://d.hatena.ne.jp/finalvent/20070906/1189039165の「finalventの日記 - 増田的SF的」で紹介されていたhttp://anond.hatelabo.jp/20070905170808にある「情報という概念が何らかの概念の近似であるという可能性」に関して。

古典力学量子力学の近似ととらえた場合に、情報科学における情報という概念もひょっとしたら情報を包括するようなさらに高次な概念の近似なんじゃないかなと思うんです。ここで書いているのは量子情報のことではなくて、情報そのものの高次な概念があるような気がするんです。

http://anond.hatelabo.jp/20070905170808


高次の概念かどうかはわからないけれど、通常は情報というのをそれ自体で存在するものとしているけれど実際には何かしらの物質やエネルギーが情報を記録するのに必要というのを連想しました。概念の拡張というよりかは、概念を具体的な物に適用した場合についての考え方で、数学の物理への応用とか、力学を質点や剛体で考えるのではなく実際の物質に適用するとかに似ているかも。

具体的にはどんなことかというと、ウィキペディアの「マクスウェルの悪魔」から引用してみます。

物理学者レオ・シラードは、1929年にマクスウェルのモデルを単純化して 1 分子のみを閉じ込めたシラードのエンジンと呼ばれるモデルを用い、 悪魔が同じ大きさの 2 つの部屋のどちらに分子があるかを観測するということにより、熱力学の単位で ΔS = k ln 2 だけのエントロピーが減少することを示した (次節参照)[1]。 ただし、k はボルツマン定数である。 この ΔS は現在 1 ビットと呼ばれている情報量に他ならない。 シラードの洞察は、元々、気体運動に対して構築された概念であるエントロピーと、情報を得るということ、もしくは知識をもつということの間に深いつながりがあることを示し、また、ボルツマン定数とは実は情報量の単位と物理学の単位を変換する比例定数に過ぎないことを明らかにした。 シラードは、全体の系のエントロピーは減少しないはずなので、悪魔が観測によって情報を得ることによってそれ以上のエントロピーの上昇を伴うだろうと結論した。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%81%AE%E6%82%AA%E9%AD%94


情報を得るということが、系に与える影響について書かれています。そして、情報を記録しているメモリからエネルギーを取り出すことさえできるようです。熱力学のエントロピーと情報エントロピーは無関係ではないのです。

シラードのエンジンの議論は、我々がその状態をわかっているメモリは、我々にとって 1 ビットあたり kT ln 2 のエネルギーを持つと考えることができることを意味する。 例えば、 2.65 × 1020 ビット、 0 ℃ のメモリは、その利用者がメモリすべての状態を知っている限りおよそ 1 J のエネルギーを生み出す「燃料」と見ることができる。 逆にその状態を知らず、利用者にとって乱雑な状態であるメモリからはエネルギーを取り出すことができない。 これは我々が対象の状態を知っていることが秩序としてエントロピーを下げ、知らないことがエントロピーの大きな乱雑さを表すという日常的なエントロピーの解釈を情報の概念を通じて熱力学的なエントロピーに実際に結び付けている。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%81%AE%E6%82%AA%E9%AD%94


http://anond.hatelabo.jp/20070905195703で書かれている情報とエネルギーが等価というのも、上の説明やランダウアーの原理で説明できそうです。


参考 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%80%E3%82%A6%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%81%AE%E5%8E%9F%E7%90%86 ランダウアーの原理 - Wikipedia