Pかつ非Pの世界

http://d.hatena.ne.jp/trivial/20071028/1193583366の「ミステリと矛盾と論理学 - 一本足の蛸」と、そこでとりあげられているhttp://d.hatena.ne.jp/sirouto2/20071020/p2の「ミステリの一戒・一則を考える - 萌え理論Blog」に関して。

現代の標準的な論理学では、「SはP、かつ、Sは非P」の場合、Sは存在しないとされます。Sが存在し記述が真の前提なら矛盾になりますが、仮説形成においては矛盾があれば仮説が却下されるだけで、「任意の命題が導出可能」にはなりません。

http://d.hatena.ne.jp/sirouto2/20071020/p2


「SはPである。」という文と、「SはPではない。」という文がともに真であるという場合もいくつか思いつきます。「頭の体操」で読んだ記憶があります。

  • この文は肯定文である。
  • この文は肯定文でない。
  • この文は11文字である。
  • この文は11文字ではない。
  • この文の最後の文字は「る」である。
  • この文の最後の文字は「る」ではない。

これらは自己言及文という種類に属します。それ以外の方法でも可能です。

  • グループのメンバーの半分は男性である。
  • グループのメンバーの半分は男性ではない。

これはSで定義される対象が、最初の文と次の文では違っているためにどちらの文も真になることが可能になっているわけです。