自然の中のe(3)


自然の中のe(2)」からの続き。

隠れていたe

表の下のあたりの差の値がなんか同じだなとまず思ったのは、271828という数字のならびが、桁をずらしながらも共通していたからだ。


 x  (x/(x-1))^x((x+1)/x)^x  差 
10 2.867971991 2.59374246 0.274229531
11 2.853116706 2.604199012 0.248917694
12 2.840944377 2.61303529 0.227909086
13 2.830788231 2.620600888 0.210187343
14 2.822185572 2.627151556 0.195034015
15 2.814805239 2.632878718 0.181926521
16 2.808403966 2.637928497 0.170475468
17 2.802799028 2.642414375 0.160384653
18 2.797850515 2.646425821 0.151424694
19 2.793449478 2.650034327 0.143415151
20 2.789509818 2.653297705 0.136212112
50 2.745972701 2.691588029 0.054384672
100 2.731999026 2.704813829 0.027185197
500 2.721005103 2.715568521 0.005436583
1000 2.719642216 2.716923932 0.002718284
10000 2.718417755 2.718145927 0.000271828
100000 2.71829542 2.718268237 0.0000271828
1000000 2.718283188 2.718280469 0.0000027185
 10000000 2.718281966 2.718281694 0.0000002716


と、これはeの値と同じだというのにも気がついた。いったいどういうことだろう。


xの値が10倍にると、差の値が約10分の1になっているので、なにか関連がありそうだ。
xが10の場合でも、0.27422…となっている。やはり何かある。とはいえそれはxが10の倍数のどきだけで、他の値の場合はeとは関係なさそう。


でも、ないか。

xをかければいいんだ。xが10の時は差が0.27422…だから10倍して2.7422…。11の場合は、差の0.24891…に11をかけると2.7380…となる。20だと0.13621…×20=2.7242…か。
式にすればこうか。
 x\left({{\left(\frac{x}{\left(x-1\right)}\right)}^x}-{{\left(\frac{\left(x+1\right)}{x}\right)}^x}\right)
計算した結果をグラフにして確認すると、これもxの値が大きくなるにつれてeの値に近づいている。


目盛を拡大してみると、値が変動している。
これはダメかもしれないといったんは思ったが、表計算ソフトの計算精度のせいかもしれないと思い直した。



この、2つの式の差から求めた値がeに収束するかどうかはわからないのだけど、もし収束するとしたら不思議な感じだ。2つの式のひとつは上から、もうひとつは下からeの値に近づいていく。その両者に囲まれた差の部分はxの値が大きくなるほど小さくなっていき、0に収束する。しかし、小さくなった差の値にxをかけた値は、ほぼ一定でこれもまたeに近づいていく。
eを目指す2つの曲線。その間に挟まれた部分からも、eが出てきてしまう。どうにも不思議だ。


(おわり)