一家に主フはひとり

昨日のエントリーの続きのような話。

主婦と主夫

夫が家事の分担をしていても主夫と呼ばれにくい理由として、主婦と主夫は排他的な存在かもしれないと思いました。
主婦がいる家庭には主夫は存在しなく、主夫がいれば主婦が存在しないといった具合です。一家には主婦か主夫のどちらかひとりしか存在し得ないのではという仮説です。
しかしこの仮説は、主婦がふたり存在することも否定してしまうのが難点です。主婦がふたりというのは、サザエさんの家のように今では数が減ったかもしれませんが普通に存在します。サザエさんの場合は実の母と娘ですが、これが嫁と姑の場合は互いに反発する排他的と言ってもいい争いが存在する場合もあるかも。どちらが主導権を握るかという主婦権を巡る争いです。*1


http://d.hatena.ne.jp/michikaifu/20070617/1182109808の「父の日雑感 - マネージメントとしてのお父さん、お母さん - Tech Mom from Silicon Valley」に、こんなことが書かれていました。

アメリカでも日本でも、父の日は母の日よりも地位が低いのは共通の現象のようだ。日経の随筆欄にもその記述が今日あったし、一方昨日のサンフランシスコ・クロニクルによると、アメリカで父の日のプレゼントとしてのオススメ商品の値段はだいたい10ドルが相場で、母の日にはだいたい50ドルのものが並ぶのに比べて、格段にヤスモノ、なのだそうである。

これは、「社長の名前は知っているけど、副社長の名前はよくわからない」というのと同じことじゃーないかと思う。

最近のお父さん方、特に若いお父さんたちは、昔と比べてずいぶん家事や育児に関わるようになった。しかし、友人の男性が「オレは子供のオムツをいつも換えていた」と言って自慢するのを聞くにつけ、「でもそれって、工場でボルトを一個まわしてつけるのと同じようなもんだよな・・・」と内心思う。それは、確かにとても大事な仕事ではある。それがなければ、自動車がちゃんと組みあがらない。でも、自動車会社の社長がやっている仕事と比べると質が違う。

http://d.hatena.ne.jp/michikaifu/20070617/1182109808


家庭においては妻が社長で、夫は良くて副社長で悪ければライン工の扱いです。社長と副社長にしても、歴然とした差があります。
会社にふたりの社長が存在しないように、家庭にふたりの主フは存在し得ないのかもしれません。会社のたとえでいうとサザエさんの家のような場合は、先代の社長である会長と今の社長が協力しているようなものかもと思いました。
主婦がいる家庭では夫は主夫にはなれず、がんばっても副夫*2にしかなれないのかも。

立場と価値判断

上で紹介したエントリーは、http://d.hatena.ne.jp/michikaifu/20090115/1232042952の『家事と「グーグルの検索」が似てる件 - Tech Mom from Silicon Valley』経由で見たものです。こちらのエントリーの前半は上のエントリーと同様の主婦業を経営に例えて重要性を訴えているようにみえます。しかし後半では、“「重要度」というのは何を目的・基準として考えるか”によるといった内容になっていて、前半をひっくり返しているようにも読めます。でも自分にとって自分の仕事が大切であるという考え方によって、主婦にとっては主婦の仕事は重要であると述べているのであれば矛盾は無いかも。肉体労働を軽視するように読める部分もあるけれど、それもそういう立場における判断でしょうか。


自分がやっていることが大切だと感じるということに関しては、http://d.hatena.ne.jp/kaerudayo/20090116#p1の「男と女の間には - 北沢かえるの働けば自由になる日記#p1#p1#p1」で書かれていたよくあるパターンの逆転した話があります。

子どもがいないときの失業では、役割を代わってもらっていた。洗濯や掃除、炊事はもともとマメなのですぐに覚えてくれたんだが。

ある日、深夜まで仕事して、くったくたになって帰ってくると、

「なんで、遅くなるって連絡しなかったんだよ。ごはんはどうするんだよ。台所片付かないだろ」

とかブータレられて、ムカッ。

“なに、つまらねぇこと言っているんだよ、朝からトラブル続きで、胃をキリキリさせて、飯も食わずに、やっと片付けて帰ってきた嫁にその言葉はねえだろ!”と言いかけて、あぁ、いかん、いかん。そうだ、夫の台詞は、私の台詞だったじゃないか。心をこめて食事を作ったのに、それを当たり前と受け取られて、ないがしろにされるほど、辛いことはないじゃないか。何回この手のことで爆発したことかさぁ。

http://d.hatena.ne.jp/kaerudayo/20090116#p1


これを読むと、一般的な男女の考え方の違いというものもそれぞれの立場の差から発生したものに過ぎないのかもしれないと思えました。そういう意味で、ブックマークコメントなどに書かれていたお互いの役割を交換するというのは、相手の立場への理解を深めるのに役立つかも。会社の場合は、社長と副社長とか社長とライン工が立場を入れ替えてみるなんてことは出来ないでしょうが。

*1:それ以外の理由も、もちろんあるでしょうが。

*2:いちおう書いておくと造語です。