カリオストロの城と陰謀論

「奴はとんでもない物を盗んでいきました。それは偽札の原版です」


銭形のセリフがこうだったら感動は台無しかもしれませんが、事実としてルパンは何も盗んでいないわけではありません。原版を持ち出したのが不二子だとはわかっていなかっただろうし、もしわかっていても不二子はルパン一味として認識されているはずです。
ではなぜ銭形はあんなセリフを言ったのかというと、何も盗らなかったというクラリスにあえて言う必要はないと考えたのか、あの時点では原版の持ち出しに気がついていなかったかのどちらかだと思います。


偽札原版が盗まれたのはクラリスカリオストロ公国にとっては損失ではなく、むしろメリットかもしれないなんてことも考えました。偽札作りの疑惑は原版が無いことでも揺らがないでしょうが、決定的な証拠があるかないかではだいぶ違います。また、すべての悪行の責任を死んだ伯爵に被せる、これは事実そうなんですが、それによってクリーンなイメージを与えることもできそうです。偽札作りという裏の産業はなくなっても、湖の下から見つかった遺跡という話題の観光資源があれば当分は観光客の人気を集めるだろうことも容易に予想できます。


ここから根拠の無い想像を交えた陰謀論になります。
クラリスの両親である大公夫妻は7年前の火事で死亡したと言われていますが、これは事故だったのでしょうか。何者かが意図的に火災をおこした大公夫妻を亡き者にした可能性は全くないのでしょうか。
まず疑わしきは伯爵です。大公の死によって、実質的にカリオストロ公国を自分の手におさめることが出来たわけです。事故によって利益を得るものを疑うのは、推理のセオリーです。
ただし、いかな伯爵といえどもそこまでするかどうか。また、どうやって実行したのかというのも疑問です。特殊部隊の「カゲ」は国のためなら非合法なことも平気で行いますが、大公を亡き者にする任務などは出来るわけもありません。


クラリス黒幕説というのも考えられなくもありません。ミステリー小説なら、そういう意外な犯人もありそう。でも、火災当時には10歳以下だったし、可能性としてはかなり低いでしょう。