掛け算と単位2

「古くて新しい掛算 - わさっき」*1で書かれていたことに関して。

発端のツイートが見つかっていないけれど,とりあえず,「子どもたちが1列に3人ずつ6列ならんでいます.子どもたちはみんなで何人いますか」と,問題文を定義しておきます.ちなみにこれは,遠山啓が1972年に書いた「6×4,4×6論争にひそむ意味」の一節の改題です.

遠山の主張は,「3×6でも,6×3でもいいとせざるをえないだろう」となります.それに対し@mbnifeさんの主張は「3人/列×6列=18人」です.

そこには2つの論点があるように思います.定義した問題に対して,単位を書かないとすれば,“3×6のみ”か“3×6でも6×3でもいい”か,それと,3×6という式に単位を添えるなら“3人/列×6列”か“3人×6人”か(他にあるか),です.

http://d.hatena.ne.jp/takehikom/20130416/1366039917


3人/列×6列という計算のほうが、3人×6人よりも普遍性があって多くの事柄に適用できるのではないかというのがこのエントリーにおける主張です。


ブックマークコメントでは
リンゴ1個がイチゴ3個と交換できるときに、リンゴ6個は何個のイチゴと交換できるでしょう。
という問題を例として考えました。
これは3人/列×6列方式ならば、

イチゴ3個/リンゴ1個×リンゴ6個

のように書くことで、イチゴ18個という答が機械的な計算により求まります。


3人×6人方式だと、

イチゴ3個×リンゴ6個

のようになり、18個という答を得たとしてそれがリンゴであるのかイチゴであるのかを式とは別に考える必要が出てきます。



1インチが2.54センチのとき、4インチは何センチになるでしょう。
の場合だと、

2.54センチ/インチ×4インチ

2.54センチ×4インチ
にようになります。


他に、
底辺1センチ、高さ3センチの三角形の形を変えずに拡大し、底辺4センチにした場合に高さは何センチでしょう。
という問題で、
3センチ/センチ×4センチ

3センチ×4センチ
のどちらが問題の条件をより正確に表しているかというと前者の式ではないかと思うわけです。


3人の子供がいて、別に6人の子供がいても3人×6人という計算をすることはできません。掛け算を構成する3人と6人がそろっているのに計算できないというのが3人×6人方式で理解を進めるのに困る点です。3人/列×6列方式ならばこういった問題は起きません。



外国から先生を呼ぶと日本の先生3人分の給料が必要になります。外国から先生を6人呼ぶ為には、日本の先生何人分の給料が必要になるでしょうか。



以前に書いたもの
「掛け算と単位」http://d.hatena.ne.jp/ROYGB/20091214#p1