自転と公転と引力

「「月に引かれてる」のに「反対側も盛り上がる」のはなんで? 雑学界の権威・平林純の考える科学」*1を読んで感じた違和感について。

月による潮汐力を考えるため、まず地球と月が引き合いながら回転しているようすを描いてみました。それが、右の図です。地球と月は、(地球と月を合わせた)共通重心を中心として回転(公転)しています。そんな公転を地球上の各位置が行う時には、地表上の各点は同じ等速の円運動を行い、(その等速円運動する状態を基準とすると)どの点も「月がいる方向とは反対側に働く」同じ大きさの遠心力を受けることになります。そして、地球重心では、その遠心力は月の引力と等しい、ということになります。

「月に引かれてる」のに「反対側も盛り上がる」のはなんで? | 雑学界の権威・平林純の考える科学


ここで書かれているのがどういうことなのかを理解するのにまず時間がかかりました。検索して見つけた別の説明*2にも同様のものがあって、それと合わせることで“地表上の各点は同じ等速の円運動を行い”というのが理解できました。この考え方では地球が自転していないという条件を設定しています。
そしてこの考え方の場合だと地球と月の共通重心が地球のある一箇所に固定されているのではなく、共通重心となる場所も位置を変えていることになります。また共通重心であっても地球の他の場所と同じ月と反対向きの遠心力が働くというのが少し納得しがたく感じた部分です。


地球が自転していないという条件ではなく、公転周期と同じ周期で自転していると考えると別の見え方になります。公転周期と自転周期が一致すると月に対する向きが変わらなくなります。月は地球にいつも同じ面を向けていますが、これは月の自転周期と公転周期が同じだからです。
この場合は月と地球の共通重心は地球の一箇所に固定されて、地球と月は共通重心を中心にして回転します。回転の周期は同じですが、中心からの距離の違いによって遠心力は異なります。
自転しない地球と、公転周期と同じ周期で自転する地球の動きはそれぞれ以下のようになります。


自転していない地球


自転している地球


実際の地球は自転していないわけではないし、公転周期と同じ周期で自転しているわけでもありません。ただし、自転による遠心力は自転軸の傾きを無視すれば中心軸から外側に働くので大勢に影響は出ないと思われます。
また、どのような条件で考えた場合でも結局のところ同じになるはずなのですが、直感的な理解というか個人的には自転していない地球モデルよりも自転している地球モデルの方がわかりやすく感じます。