明日をも知れない

http://d.hatena.ne.jp/calculator/20051209#1134110973に書かれている問題について考えてみます。

友人が明日をも知れない病気になった。

医者の話によると予後は良くなく、手術をしてもほとんど助からないということらしい。

見舞に行った病床で、彼/彼女は「どれだけがんばっても死ぬんだから、もう死んでもいいじゃないか」と言いだします。

さて、貴方ならどう回答しますか?

この問題はさらに続いているが、まずこの質問にたいしては、回答しないのがとるべき道だと思う。
回答できないと言ったほうがいいかもしれないが…。

質問は「死んでも良いと答えた場合」と「死んではいけないと答えた場合」に分けて続く。

質問文の不備をあげることはできる。「手術をしてもほとんど助からないということらしい。」のならば、手術をして助かることにかけてみる道も残されている。ここは、手術が出来ない、または手術はなおる見込みが無いとしておくと、そういう道がふさがれる。
また、死んではいけないと答えた場合にだけ、下記のように別の友人が出てくるが、これは死んでも良いと答えた場合にも出てきて欲しい。

そして数年後。今度は別の友人が同じ病気になった。彼/彼女も、やはりかつての友人と同じようなことを言う。

「もう死んでしまいたい。どうせ生きていられないんだから」

また、痛みを軽減する治療というのがあるが、それも出来ない、もしくは効果が薄いとしておかないと、質問が成り立たない場合がでてくる。
しかし、質問の不備を突いても、質問の意図した求めるものに答えたことにはならないだろう。
他の誰かの考えを参考にすることもできる。たとえば、http://d.hatena.ne.jp/michiaki/20051209#1134132865の最後の答は、正解というかあるべき答の一つだと思う。この答えと似た答が、そして二人だけになった―Until Death Do Us Part (新潮文庫)の中に書かれている。第1章の最後のセリフを引用してみます。

「では、そのお友達に、あなたが死んだら私は困る、と言ってあげなさい。自殺という行為が、善か悪かという議論をする必要はどこにもありません。個々の死について、その一つ一つについて、貴女がどう感じるのか、そのときそのときで、判断すればよいでしょう。」

さて、では自分ではどう回答するのだろう。
答えないというのが一つ。しかし、答を考え続ける。問題に不備があるように、現実にも何か、別の道があるのかもしれないから。

(13日追記)
そして二人だけになった」の引用が62ページからというのは単行本の場合なので、第1章に修正しました。
修正ついでに、もう一つ引用を追加。今度はマンガのSons 7 (ジェッツコミックス ムーン・ライティングシリーズ)から。

「とにかく、まだあんたに“思い出だけの人に”なられたら、哀しいから!」