広告された女

http://d.hatena.ne.jp/lovelovedog/20060814/tkfriendsの「Yahoo!ムービーで公開されていない映画をほめる人は普通に工作員認定でいいんだろうか、と『東京フレンズ』の件から考える」を読んで、広告が規制された世界を舞台にしたSFを思い出しました。ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアの「接続された女」です。
いわゆる「押し売り防止法」によって、現在のような広告ができなくなってしまった世界では、注目を浴びている人に商品を使わせる事によって宣伝をしています。

「きみはアナンガがそれを使っているのを見て、きっといいものにちがいないと思ったんだね、ええ? いいものでなければ、アナンガのようなすてきな人間が使うはずがない、と? まったくそのとおりだよ。さて、それではデルフィ、これからきみにやってもらう仕事を教えよう。それは、いくつかの製品をみんなに見せることなんだ。どうだね、そんなにむずかしい仕事じゃなさそうだろう?」

接続された女」より引用

そうして彼女も神々の一員となって、広告の禁止された、そのくせ百五十億消費者がホロカメラ・ショーにかじりついている世界で、沢山の製品をみんなに見せるという社会的な貢献をするようになります。

つまり要するに漠然と「みんながほめている」からじゃなくて、特定の誰かさんがほめているから、というのは重要なことなのです。で、その「ほめている誰かさん」が、「メディアの提供する有名人」ではなくて「メディアでは知られていないけど、ウェブでこの人が何か言ったらすごいことになる人」だったりする部分が多くなると、Web1.99ぐらいのすごさになると思います。

Yahoo!ムービーで公開されていない映画をほめる人は普通に工作員認定でいいんだろうか、と『東京フレンズ』の件から考える」より引用


接続された女」は以下に紹介する2冊の本に収録されています。おすすめです。



20世紀SF〈4〉1970年代―接続された女 (河出文庫)

20世紀SF〈4〉1970年代―接続された女 (河出文庫)