自殺は「良いこと」か「悪いこと」か

以前に「自殺は犯罪か」というタイトルで自殺について書きましたが、別の面から考えてみます。

自殺が「良いこと」でないのは勿論ですが、では「悪いこと」でしょうか。また自殺の原因はどこにあると考えればいいのでしょうか。
ここでは自殺の主たる責任は自殺した本人にあると考えます。というのはもし、他の誰かに主たる責任があるとしたら「自殺」ではなく「殺人」か「過失致死」になるはずだからです。また、自殺することを唆したり手伝うだけでも「自殺教唆」や「自殺幇助」の罪に問われます。

自殺の主たる責任が本人にあり、自殺が「悪いこと」だとしたら、自殺した本人が悪いという結論になりますが、これは何とも受け入れ難いです。そうすると「自殺の主たる責任が本人にある」というのと「自殺が悪いことだ」のどちらかまたは両方が間違っているということになります。

「自殺が悪いことだ」というのが間違いでしょうか。国によっては「安楽死」もしくは「尊厳死」のような特殊な場合の自殺は認められています。この場合は少なくとも違法ではないわけです。しかし、もし誰かに「自殺したい」という相談を受けた場合を考えると、自殺することは悪くないとは言えない気がします。

「自殺の主たる責任が本人にある」というのが間違いでしょうか。本人でない自殺の責任のある誰かがいるのでしょうか。それならばなぜ「他殺」ではなく「自殺」と判断されるのでしょうか。法律に反しているわけではないというのなら、合法的な行為によって誰かを死に追いやることができるということなのでしょうか。

自殺は病気のようなものだと考えることもできます。誰かが病気で死んだとしても、それが本人の責任というわけではありません。同じように自殺の場合も本人の責任ではないということです。病気が誰かから感染するように、自殺もその要因になるものが誰かからやってくることがあります。同じような条件下でも誰もが発病するわけではないし、誰もが死ぬわけでもありません。

病気の原因が病原菌で、悪いのは病原菌だというのはある意味ではその通りです。そして天然痘のように病原菌を撲滅することができる場合もあります。だからと言って、全ての病原菌を無くすことは無理だし、糖尿病や動脈硬化のように病原菌によらない病気もあったりします。