女性専用車両は女性専用ではない

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20070405k0000e040065000c.htmlの「女性専用車両:利用できるのに…視覚障害の男性、困惑−話題:MSN毎日インタラクティブ」に関して。

 さいたま市見沼区に住む全盲の男性(41)は毎週2回、持病の療養施設に通うため東武野田線の七里−大宮間を利用する。同線は05年6月以降、平日の早朝から午前9時まで、6両編成のうち最後尾1両を女性専用車両とした。1年半ほど前、何気なく電車に乗ったところ、「ここは女性しか乗れませんよ」と女性客に注意された。冷たい空気が車両に広がった。恥ずかしくて逃げ出したくなったが、満員で身動きも取れない。揺れる電車の中でじっと耐えた。この時以来、男性はヘルパーを駅まで同伴して確実に一般車両に乗ることにしている。

 女性専用車両は、京王電鉄が01年3月に導入したのを皮切りに鉄道各社が取り入れるようになり、現在はJR東日本や西日本、全国の私鉄15社が朝夕のラッシュ時に運行中だ。痴漢対策が主な目的だが、交通弱者にも配慮して、障害者や女性に介護されている男性も乗車可能になった。

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20070405k0000e040065000c.html


これを自らの権利には敏感でも、他者の権利には鈍感な女性の問題として非難することも出来ますが、それはちょっと一方的でしょう。障害者でも乗車可能な女性専用車両にもかかわらず、女性しか乗れないと言った女性は、障害者も乗車可能だということを知らなかったのでしょう。そして、その誤りを訂正することもなかった周囲の沢山の女性も知らなかったのでしょう。おそらくは、当の障害者の男性も知らなかったのでしょう。それとも知っていても言わなかったのでしょうか。
リンク先のニュースでも書かれていますが、現在のところ鉄道会社では障害者も女性専用車両に乗れるということを積極的に知らせてはいないようです。


ところで、女性専用車両の主な目的は痴漢対策だということですが、女性専用車両に乗ることの出来る障害者や女性に介護されている男性が、痴漢をする可能性は無いのでしょうか。障害者が、障害の有無以外では一般の男性と同じであるのならば、痴漢が存在する可能性もあるわけです。障害の程度によっては、もし見つかった場合に逃げられないということが抑止力として働くために、痴漢をする可能性が低くなる可能性はもちろんあります。一方で、障害を理由にすれば言い訳が聞き入れられる可能性もまたありそうです。視覚障害があった場合は、音や手探りなどで周囲の状況を知るわけですが、手探りした周囲にたまたま女性の身体があったとしたら、それが痴漢になるのかということを考えてみたらどうでしょうか。
あとは、障害者を装って女性専用車両に乗るといったことが発生する可能性もあります。法律上の障害者であるかどうかは、障害者手帳で確認することが出来るでしょうが、女性に介護されている男性も乗れるということは必ずしも障害者手帳が必須では無いように思えます。また、ぱっと見た目では健常者と区別のつかないけれど障害者手帳を持っている場合もあります。障害者用の駐車スペースに車を止めるために、健常者であるにもかかわらず車椅子のマークを表示していることがあったりもするようです。女性専用車両に乗れるのだったら、障害者手帳を偽造したり不正な方法で手に入れようとする男性もいるかもしれません。