氏名が流失したら改名する?

http://takagi-hiromitsu.jp/diary/20070521.html#p01の「高木浩光@自宅の日記 - 住民票コードを市町村が流出させても全取替えしない先例が誕生する?, 追記」に関して。住民票コードを変更したとしてもあまりメリットが無いんじゃないかと思いました。個人を特定する要素としては氏名や住所の方が有効だからです。

町: 住民票コードから個人が特定されることはない。

私: え? 意味がわからないのですが、今回流出したことによって、住民票コードからの個人特定が可能になったのではありませんか?

町: 住民票コードだけからでは個人を特定することはできない。

私: いや、ですから、今回の流出では、住所氏名等と住民票コードとが一人毎にペアになった一覧表が漏れたのですよね? まさか、住所は住所、氏名は氏名、住民票コードは住民票コードで別々に独立な塊のデータだったとか、そんなわけはないですよね。だから、住民票コードからの個人特定が誰にでも可能になったのではありませんか?

http://takagi-hiromitsu.jp/diary/20070521.html#p01


ここで問題なのは、住民票コードから個人が特定可能なことでは無く、氏名や住所などの個人情報が流失したことの方でしょう。ここで住民票コードだけを変更したところであまり意味がないと考えられます。住民票コードが無くても、流失した氏名や住所などだけで個人の特定ができるからです。氏名や住所が流失したことで、その情報を使って個人の特定をすることが出来るようになったからといって、氏名や住所を変えるほどの必要性は無いのではないでしょうか。

もうひとつ疑問に思ったのは住民票コードというのは秘密にするべきなのかということです。個人情報だというのは確かですが、氏名や住所にしてもある範囲で公開されています。全く公開しないと、郵便や宅配便なども届かなくなってしまいます。銀行の口座番号にしたところで、むやみに公開はしないとしても口座振替や、逆に振込みをしてもらう場合には教える情報です。海外旅行に行くときに、旅行会社などにパスポートの番号を教えたりもします。
そういう意味では、住民票コードを秘密のパスワードのように使うことの方が問題のような気がします。ただ、リンク先で問題とされている社会保険庁の手続きには証明書の提出が省略できる場合があるとは書かれていますが、本人確認が不要とまでは書かれていません。実際の運用がどうなのか気になります。
住民票の写しなどの発行時などには、免許証などでの本人確認がされているようです。昔のように誰でも本人になりすまして住民票の写しを手に入れることが出来たとしたら、住民票コード以前の問題です。

もし、今回の事故で、住民票コードの全取替えを行わないのが妥当とする判断(他の行政機関手続きに対するリスクは十分に小さいという理由による判断)が確定するならば、今後、新たに住民票コードを利活用する手続きをどこかの行政機関が追加する際には、愛媛県愛南町の住民(および元住民等)の住民票コードは公開状態にあることを前提にしなければならない。

http://takagi-hiromitsu.jp/diary/20070521.html#p01


検索に使うインデックスとしては、それが公開状態にあろうと無かろうと問題なく使えると思います。例えば戸籍は筆頭者の氏名と住所がインデックスになっていますが、誰かの戸籍情報が漏れたとして、流失は問題だとしてもそれが戸籍制度の運用に支障をきたすわけではないからです。民間の個人情報の運用で、サラ金などの利用情報のインデックスは氏名と生年月日のようです。
だから、住民票コードの意味というのは、英数字なので入力が楽なこと位しか思いつきません。番号でなく、住所、氏名、生年月日などを入力して、それが実際に存在するデータか確認して、さらに必要ならば登録情報から確認できるようにするシステムの場合でも入力以外は今のとそう変わらないのではないでしょうか。