終末のすごしかた

はてなブックマークで紹介されていたhttp://d.hatena.ne.jp/rev-9/20070930#p2の「Something Orange -  似非オタでもOK!」に関して。

地球に衝突するような小惑星ということはそれほど地球軌道から大きく離れていないところを回ってるわけで、それが衝突3年前ってことはおおざっぱに言って、衝突までにあと2×π×1天文単位×3≒2.8×1012m移動することになる。したがって衝突回避のために地球の半径(約6.4×106m)だけずらすにはarcsin(6.4×106m/2.8×1012)≒1.3×10-3度だけ向きをそらせばよい。

 元の本を未読なんで*1小惑星の質量や組成が不明*2だから断言はできないが、地球の総力を5年間集めれば、このオーダーの軌道変更なら不可能ではなかろう。だとすると、8年後に小惑星が衝突することが発表されてから5年が過ぎた世界がとりあえずの小康状態で人びとが日常の延長で行動しているなんてことがあり得るだろうか?*3

http://d.hatena.ne.jp/rev-9/20070930#p2


人類が滅亡することが予測されるくらいのサイズの小惑星だと動かすのは難しいかも知れません。地球上でいくら核実験をしても地球の軌道が逸れたりしないのと同じような意味で。逆に、軌道をかえたり破壊ができるサイズならばシェルターなどで生き残るすべもあるような気がします。回避策でなるべく地球から遠くで何かをした方がいいとしても、その遠くに行くのがそう簡単でもないでしょう。
通常の方法では避けようも無い物を通常ではない方法で避けようとするならば、それはそれで面白いSFになりそうで例えば「さよならジュピター」はそういう話です。
「終末のフール」において衝突回避策が出ていないのだとしたら、通常の方法で回避不可能な条件なんだろうと推定するのが作品に合わせた読み方といえそうです。映画に出てくる建物が裏には何も無いはりぼてだったとしても、表から見て建物になっていれば裏にもあると推定して見るのと同じようなものです。シェルター位はたとえ無駄だとしてもあっても良さそうですが、これも作品に出てこないのならば誰が入るのかなどのパニックを避けるためにあえてシェルターは作らない、もしくは一般人には隠しているといったあたりでしょうか。

期限の決まった終末があるとして、パニックになるかどうかは場合によるかなと思います。病気で余命半年と診断された人なんかはどうなんだろうなんてことも考えました。「死ぬまでにしたい10のこと」という映画も少し思い出しました。
ひとめあなたに…」の中にも、1週間後に隕石が衝突するのに今まで通りに受験勉強を続ける学生が出てきます。まあ彼女はあまり普通ではなかったですが。それから作品を読んではいないのですが、終末の日に淡々と編み物をする女性の話*1というのもあったような。

「来る日も来る日もこれが人生最後の日と思って生きるとしよう。そうすればいずれ必ず、間違いなくその通りになる日がくるだろう」というのは、スティーブ・ジョブズスタンフォード大学の卒業祝賀スピーチで述べた有名な言葉のようですが、どこかで読んだ話だとスピーチの中で言っているのでもっと前からあったのでしょう。

藤子不二雄短編マンガ「大予言」で、近い未来の終末は明らかなのに皆が気にもしないで暮らしているというのも思い出しました。

*1:追記:ブラッドベリの「ぬいとり」でした。SFマガジン11月号の巻頭で紹介されてました。編み物ではなく、縫い物を三人の女がポーチでしている話のようです。