掃海艦ディフェンダー

沖縄のニュースから。

21日から宮古島市平良港に寄港している米海軍佐世保基地所属の掃海艦ディフェンダー(1312トン、乗組員80人)は、23日も引き続き同港第1埠頭(ふとう)に接岸している。アンドリア・スラウ艦長ら乗組員は、市民団体の抗議の中、午前8時すぎから同市平良のパイナガマビーチを清掃。夜には同市上野の航空自衛隊宮古島分屯基地で開催された観月会に出席した。掃海艦は24日正午ごろ出港予定。
 ビーチ清掃時には反対派住民らが「NO BASE」などと書かれたプラカードを手に抗議。乗組員らは市民に目を合わさず、反応はなかった。スラウ艦長は「言論の自由があり、皆さんはそれを行使している」と話した。
 航空自衛隊宮古島分屯基地の観月会にはスラウ艦長、レイモンド・グリーン在沖米総領事らが参加。地元住民や自衛官らと酒を酌み交わした。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-167915-storytopic-1.html

記事には海岸で清掃活動をする艦長の眼前に“NO Base!”と書かれたプラカードを突きつけている写真も載せられています。
写真から受ける印象も手伝って、困った市民団体と大人の対応をする艦長というような感想を持つ人も多いのではないでしょうか。事実、はてなブックマークのコメントにもそんなものがありました。

もう少し背景などを知りたいと思ったので、記事の下にある「関連すると思われる記事」からジャンプした先も読んでみました。

米海軍の掃海艦ディフェンダー(1312トン)が21日午後零時半すぎ、宮古島市平良港に寄港した。米軍艦の民間港への寄港は復帰後3度目で平良港へは初めて。米軍は「友好・親善」を目的としているが、県や宮古島市が自粛を要請し、地元の市民団体が港で反対行動を展開する中で寄港を強行した。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-167821-storytopic-1.html

米海軍の掃海艦が平良港への寄港を計画している。同港への米軍艦船寄港は施政権返還後初めてだ。
 人命や航海に支障を来すような緊急事態が発生したからではない。友好・親善のためだという。
 しかし、県や地元は寄港の自粛を求めている。奇妙な話だ。招かれてもいないのに、やって来る。
 民間港への米軍艦船の寄港は、施政権返還後、与那国島石垣島に次いで3度目。2007年以降の3年間に集中している。民間港湾を自由使用したいという意図が見え隠れする。
 県は米軍に対し「民間港湾は民間船舶の運航施設として設置されたもので、緊急時以外は米軍の使用は自粛すべきだ」と伝えた。
 当然の話だが、それがかなわないのは日米地位協定第5条があるからだ。同条項によって、米艦船は通告するだけで入港料も払わず日本の港に入港することができる。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-167756-storytopic-11.html


この辺の記事を読むと、掃海艦ディフェンダー宮古島にやってきた経緯がなんとなくわかってきます。市民団体の反対だけでなく、県や宮古島市の自粛もあったようですが、それにもかかわらず入港してきたわけです。法律上は問題ないとしても、友好・親善が目的だとすると少し強引なんではないかとも感じます。
先の記事の“スラウ艦長は「言論の自由があり、皆さんはそれを行使している」と話した。”というのも違った意味にもとれるかなと思いました。つまり、我々に対する実質的な効力は何もないのだけど「言論の自由」だけはある。言うのは自由だけど、そんなものは何の力もないし全く考慮しないというのが暗に含まれている。とまで書くと行きすぎでしょうか。


港以外にも空港も日米地域協定により米軍が利用することが可能なようです。

 米海軍は今月、在沖米国総領事館が開催する予定だった演奏会へ音楽隊を出演させるため、米軍機の宮古空港使用を計画していた。演奏会は台風で12月にあらためて開催する方向で、再び米軍機による空港使用が検討される可能性がある。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-167647-storytopic-88.html


日米地位協定は沖縄だけに適用されているわけではないので、協定上は日本中の港や空港を米軍が強制的に利用することも可能なわけです。まああまり派手な利用をすると地位協定が見直されたりする可能性もでてくるので、それほど極端なことは起きないでしょう。逆に言うと、現状と同じレベルの、地元では問題になるけど全国ニュースにはならない位の強制利用は続くのかもしれません。

米海軍佐世保基地所属の掃海艦ディフェンダー(1312トン、乗員80人)は24日午前11時45分ごろ、平良港を離れた。出港に立ち会ったレイモンド・グリーン在沖米総領事は、寄港で平良港の港湾データを収集できたなどと語った。市民団体や住民らは同埠頭(ふとう)ゲート前で集会を開いて抗議。宮古島市議会は同日、寄港に対する抗議決議を全会一致で可決した。宮古島市議会の決議のあて先は外務省沖縄事務所、在日米軍司令官、在沖米総領事の3者。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-167971-storytopic-1.html

この記事によれば、宮古島市議会が寄港に対する抗議決議を全会一致で可決したとあるように、一部の市民団体だけが反対していたというのではないこともわかります。