「合理的な豚」の行動

http://www.h-yamaguchi.net/2006/01/post_701f.htmlにある「合理的な豚」の行動について考えてみたい。
詳しくは、リンク先を見てもらうとして「大きな豚」と「小さな豚」がそれぞて「走る」か「走らないか」によって以下の表のような得点に応じたエネルギーを得る。


 大きい豚
走る走らない
小さい豚走る小 1.5、大 3.5小 -0.5、大 6.0
走らない小 5.0、大 0.5小 0.0、大 0.0


この状態で「小さな豚」の取る行動は、「大きな豚」が「走る」か「走らない」にかかわらず、「走らない」方が得点が高くなる。そして、「小さな豚」が「走らない」場合に、「大きな豚」は「走る」方が得点が高くなる。
そのため「小さな豚」が「走らない」、「大きな豚」が「走る」行動を取った結果、「小さな豚」は5.0を得て、「大きな豚」は0.5を得るというもの。能力の勝っている「大きな豚」の方が得られる得点が小さくなる。というのが、リンク先の「合理的な豚」の説明の要約。くりかえしになりますがが、詳しくはリンク先を参照下さい。


さて、ここで「大きな豚」の取るべき行動を考えてみたい。
結果から言うと「大きな豚」は、以下の表のように行動すればよい。赤字の部分が変更点。

 大きい豚
走る走らない
小さい豚走る小 5.5、大 -0.5小 0.5、大 5.0
走らない小 5.0、大 0.5小 0.0、大 0.0


両方の豚が走った場合、「大きな豚」は0.5のエネルギーを消費して、4のエネルギーに相当するエサを食べる能力がある。しかし、何も食べない。なぜ食べないのかはあとで説明します。
そして「大きな豚」が「走らない」で、「小さな豚」が「走る」場合に、「大きな豚」は6.0のエネルギーに相当するエサの全てを食べることが出来ます。しかし、5.0しか食べない。
この「大きな豚」の利他的ともいえるような行動で、なにが変わるというのだろうか。
それはこの状態での「小さな豚」の行動を考えてみればわかります。つまり「小さな豚」は、「大きな豚」の行動にかかわらず、「走る」方が得点が高くなります。そして、「小さな豚」が「走る」場合に、「大きな豚」は「走らない」方が得点が高くなります。
そのため「小さな豚」が「走る」、「大きな豚」が「走らない」行動を取った結果、「小さな豚」は0.5を得て、「大きな豚」は5.0を得るというもの。
変更前に比べて、「大きな豚」の得られるエネルギーは大きくなった。つまり「大きな豚」としては、この「利他的」な行動をとる方が「合理的」ということになります。


http://d.hatena.ne.jp/hachi/20051221#p4で、一見「利他的」な行動が、自分の利益になることもあるという「快楽のパラドクス」が紹介されていますが、「大きな豚」の行動は、これに当てはまるのかもしれません。
さらに、考えを進めて、「小さな豚」も同じような「利他的」な行動をとるをした場合に、両者の得られる得点がどう変化するのかとか、その変化はある値に収束するのかどうかなども考えると面白いかもしれません。