棒問題

昨日の「電球問題」に関連して、「棒問題」というのもあるなあと思いました。
「棒問題」というのは、長い棒の端を押したり引いたりすることで、光よりも速く信号を送ることができるかというものです。
相対性理論を扱った本では、たいてい出てきますし、人力検索はてなの質問にもなってます。
http://www.hatena.ne.jp/1120221211

まあ、光の速さを超えて信号を送ることは出来ないというのが答ですが、それではどのくらいの速度で伝わるのかという問題を考えると「電球問題」と似てきます。下の問題は、少し変更してさらに電球問題に似るようにしました。


長い棒の手前と真ん中と先に短い横棒を取り付けます。横棒の先に将棋の駒かドミノのように倒れやすいものを起きます。棒を押すと、将棋の駒(又はドミノとか)が倒れますがその順番はどうなるでしょうか。


     A           B          C
    |∩          |∩         |∩
    |           |          |
――――+―――――――――――+――――――――――+―

棒を押すとA、B、Cの駒が倒れるが、その順番は?

電気の話と力学の話なので、違うといえば違うのですが、考え方としては似たような感じです。どちらかがわかれば、もう片方もわかるか、少なくとも理解の助けにはなると思います。


棒を使った問題はもう一つあって、それは同じく長い棒の端を持って円を描くように回すと棒の先は光の速さを超えるか、というものです。最初の問題では、棒自体の動く速度は光よりも遅くてもいいのですが、この問題の場合は棒の動きが光速を超えるので、いかにも無理な感じがします。
無理は承知の上で計算すると、長さ5万kmの棒を毎秒1回の速度で回転させた場合、棒の先の速度は約30万km/sになります。これは大体光と同じ速さです。回転数を上げて、毎秒2回にすると約60万km/sで、光の2倍になります。
まあ、当然こんなことは不可能なんですが、棒の代わりに光を使うと可能になります。灯台みたいな感じで回転する光源を考えて、回転速度が毎秒1回だとします。5万km離れたことろに紙でも置いたとして、光に照らされる部分の移動する速度を計算すると約30万km/sになります。これでだいたい光速ですが、回転をもっと速くすれば速度も上がるし、距離を大きくしても同様です。たとえば月までの距離は30万kmなので、月に光があたるようにすれば、速度は180万km/s位になり、これは光の速度の約6倍です。これは不可能ではありません。

なぜ棒だと不可能で、光だと可能なのかを考えると面白いかもしれません。