ZFとC

選択公理というのがあってZFCのCのことです。ZFはツェルメロ=フレンケルの公理系のことで、選択公理を含まないこの公理系も使われています。そして選択公理はZFに対して独立で、ZFCのようにZFに選択公理の肯定を追加することも可能だし、選択公理の否定を追加することもできるようです。

選択公理と矛盾するが、それを除いた標準的な集合論の公理系 (ZF) とは矛盾しないような命題は数多く発見されている。たとえばソロベイは強制法を用いて実数の集合が全てルベーグ可測であるようなZFのモデルを構成した。

1964年にミシェルスキが導入した決定性の公理もその一つである。これは現在、整合性証明のために頻繁に用いられている。ZFに決定性の公理を付け加えた公理系の整合性と、ZFに選択公理とウディン基数の存在を公理として付け加えた公理系の整合性が同値となるというウディンの定理は、互いに矛盾する公理を関係づける非常に重要なものである。

決定性の公理および可算選択公理(下記)のことから、選択公理の位置はかなりあやふやである。まったくの間違いというわけではないが、選択公理が「何らかの意味で制約されるべし」という発想も十分に成立する。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%B8%E6%8A%9E%E5%85%AC%E7%90%86


選択公理がどういうものかについても同じくウィキペディアから引用しておきます。

選択公理(せんたくこうり、axiom of choice、選出公理ともいう)とは公理的集合論における公理のひとつで、どれも空でないような集合を元とする集合(すなわち、集合の集合)があったときに、それぞれの集合から一つずつ元を選び出して新しい集合を作ることができるというものである。1904年にツェルメロによって初めて正確な形で述べられた[1]。一見非常に当たり前のことを言っているように見えるが、対象が無限集合である場合は実は自明ではない。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%B8%E6%8A%9E%E5%85%AC%E7%90%86


対象が無限集合の場合には、有限回の操作では終了しないのでこのような操作が行えるかどうかは明らかではないということのようです。このため、選択操作が可能であるというのを公理に追加する必要があったということです。

しかし、ZFにも無限の操作は登場します。無限集合の冪集合の作成です。冪集合が存在することについてはZF公理系の公理の一つです。

冪集合の公理
どんな集合 X に対しても X の部分集合全てからなるような集合が存在する。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AC%E7%90%86%E7%9A%84%E9%9B%86%E5%90%88%E8%AB%96


冪集合というのは、もとの集合の部分集合を全て集めた集合です。この、全ての部分集合を集めるという操作も有限回では終わりません。もとの集合が有限集合ならば勿論有限回ですみますが、無限集合の場合は有限回では終了しません。この場合に、冪集合を作成するという操作が可能であるというのは明らかなのでしょうか。*1というか、明らかではないので公理として設定する必要があったということなのでしょうが。


といったようなことを考えた場合に、どんな集合にも冪集合が存在するという公理も選択公理と似たような感じで、否定した公理系が考えられるのではなんてことを思いつきました。つまりZFから冪集合の公理を除いた公理系です。無限集合は存在するけれども、それに対する無限の操作は認めないという公理系は、可能無限の世界になるのかな。

*1:選択公理を認めれば、冪集合の公理も導き出すことは出来そうではありますが、ZFには選択公理は含まれません。